虫と共に去りぬ

虫や金魚を中心に、生きものたちと歩む日々

夢 その3

視界の端に小学校の同級生T君を見つける。

数人のグループで来店していたようた。

私といえば、同級生の女の子友達4人くらいでボックス席におさまってお茶してた。

 

そこから、何か私の琴線というか、精神的にセンシティブな部分を強く刺激するようなことをT君が言った気がする。

怒りが自分の喉の奥の方からぐらぐら煮立っていく感覚。

興奮のせいか知らないけど、周りがシンとしたように感じて、自分の頭の中の声しか聞こえなくなる。

言いたいことが怒りと一緒に駆け巡る。

 

「        」

 

なにを言ったのか、何にそんな大声を上げようと思ったのか思い出せないけど、これまでの私の人間性からして考えられないような激しい感情の発露だった。

ひとたび口を開けば、真っ赤な炎がごうごう溢れ出る感じ。

体が感情で燃やされて熱かった。

T君には、別にいじわるな印象なんて持ってなかったんだけど、どうしてあんな酷いことを言ったのだろう。

私が燃えれば燃えるだけ、彼も食らいついてきた。

彼も全然引かない。私も引けなかった。

 

途中で、ふとK君と目が合う。

これまでは一緒に行動したり、どちらかといえば「私がわ」の人として現れてた人。

でも、今日は違うみたい。繋がった目線はすぐに解けた。

私から外したのか、彼から外したのか分からない。同時だったのかもしれないけど、恐らくこれっきりで、もう以前のような関係で彼が登場することは二度と無いように思えた。

寂しいような、不思議な感じだけど、多分この感覚もしばらくすれば流れて丁度いい位に薄まっていくと思う。

離れたことで、前に進めたら良い。

 

T君は最後に言った。

「おまえ今度    するつもりだろ。うまくいくわけねえからな」

 

私の直近の目標のことだった。

気にしなきゃいいんだけどね、言葉以上に後味が悪い毒を吐かれてしまった。

彼はそのまま彼の友人たちと出て行ってしまったけど、私はなかなか取れない油をぶっかけられたような、ギトついた悪意をどうやって剥がしていこうかとため息をついた。

怒りは激情で、激情を燃やすには、エネルギーが要る。

夢の中でくらい穏やかでいられたらいいのにね。

 

でも、ここ数ヶ月で、私の中に自認できる「怒り」が生まれたこと、そしてこの怒りが、これまで無頓着だった私に沢山傷を与えきたものたちから、きっとこの先の私を衛ってくれるだろうことが、本当のところ、少し嬉しい。