虫と共に去りぬ

虫や金魚を中心に、生きものたちと歩む日々

高架下の

自分が気持ち悪くてたまらん。

 

と思う時が月に1,2度くる。発作みたいなもの。

指先から足から全てに納得ができなくて今すぐに脳みそ掻きむしりたくなる。

そういう時は大概数度のヘドバンと自分への悪態でどうにか鎮火していく。

そうすると(ああ今日もなんとか飲まれなかったな、大丈夫だったな)と思う。

不思議なもんで、その時には急に頭から熱が引いてって全部他人事みたいに思えてくる。そうめん茹でてて吹き上がった泡にとっさに息をかけて溢れるのを阻止できた感じ、というと感覚的にはかなり的確な表現なんだけど。

 

夏の終わりで、仕事帰り。薄暗い高架下を歩いてて、あの人と自分の腕がたまたま一回触れた0コンマ何秒の一瞬が急に蘇ってくる。

あの瞬間の自分のことが、言いようがなく嫌いだ。

これまでの自分にはなかった顔をしたあの自分が、心底嫌いだ。

もう5年も前のことなのに、あの高架下に今も引き戻されている自分が気持ち悪くてしょうがない。

 

なんとなくスカートが嫌だった子供の頃とか、

親戚の男性にネックレスをプレゼントされてそれを後ろからつけてもらった時に

胃の底から湧き上がってきた自分への嫌悪感とか、

友人が母になったという知らせに自分でもよく分からない生臭さを感じたこととか、

根っこはいつも繋がっている気がする。

自分も人と同じだと思って他人と同じように過ごそうとすると、結果的に自分が気持ち悪くてたまらなくなる。

自分が本当に白黒つかないグレーな位置にいるのか、

ただ白黒つけるのが面倒でグレーでありたいと思っているだけなのかも分からない。

 

ただ高架下の気持ち悪さが今もタールみたいに取れない。